1月下旬の夕刻、自宅のインターホンがピンポンと鳴った。
妻が出ると、爽やかな感じの良い若者がこう言った。
「さっきまで斜め向かいのマンションの屋上工事をしてたんですが、お宅の屋根のてっぺんの板金が外れて風にヒラヒラ揺れてますよ。親方から教えてあげて来いと言われました」と。
妻からスマホに連絡があったので、知り合いの工事店に電話をするもあいにく連絡がつかない。
5分ほどして、「さっきの人が戻ってきたので、電話かわるね」と妻からの連絡。
電話をかわると、ハキハキと明るく好感の持てる声だ。
「親方は今、近くの現場にいるんですが、屋根に上がってちょこっとクギでも打てば直るんじゃないか?俺でよければやってあげるよと言ってます。今日はもう暗くなったので、明日でよければ、近くの現場の仕事合間に直しますよ」となんとも親切な言葉である。
「ちょうど隣のご主人も出てきた所なので、ハシゴは隣からかけさせてもらう許可ももらいました」と爽やかな声。「いや、2階のベランダが広いから、そこからハシゴをかけた方がいいかも…」と私。「車で10分ほどの所が私の仕事場だから、電話をもらえばすぐ戻れるから、明日、何時でもいいから電話を頂戴な」と電話を切った。この間のやり取りも好印象の若者だった。
夜、自宅に戻ると、妻が「ちょっと気になるから、お向かいのマンションのオーナーさんに聞いてくるね」と出かけ、怒った様子で戻ってきた。「今日、屋上の工事なんてやってないって!」すぐにスマホで検索すると、「親方に言われてきましたサギ」「イケメンのお兄さんのピンポンサギ」「屋根の板金が風にヒラヒラサギ」などのオンパレード。
屋根に上がって、わざと屋根を壊し、修理代を請求する。あるいは家の中に入って、間取りや家族構成などを調べ、窃盗団に売ったりするケースもあるらしい。すべて「点検商法」というサギだそうだ。妻が若者に教えてもらったスマホに連絡すると留守電に。「お断り」のメッセージを残した。それ以降、連絡はない。
前回のブログで中学生の職場体験について記した。
爽やかな感じの良いイケメンよ!
君に伝えたい。
君も職場体験をしたのかな?
君の好感度はすこぶる高かったよ。
もったいない、君の持ち味・強みを良い方向に活かそうよ!
今日も若者がサギや窃盗などの「闇バイト」で、使い捨てのコマのように扱われているニュースが流れている。
小沼 好宏