今日5月5日は「こどもの日」。「国民の祝日に関する法律(祝日法)(昭和23年7月20日施行)」には、「こどもの人格を重んじ、子どもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ための祝日と定められています。「こどもの日」のすぐ後、5月の第二日曜日、今年は5月14日に「母の日」がありますが、「こどもの日」にも「母に感謝する」という意味があるとは知りませんでした。
一方、「端午の節句」は、中国で行われていた邪気払いの行事が奈良時代に日本に伝わったのが始まりです。中国では奇数の重なる日を祝う風習があり、5月5日には野に出て野草を摘み、「菖蒲」酒を飲んで邪気を払っていました。日本では5月といえば田植えを始める大切な時期。「菖蒲」を軒先に吊るし田の神を迎える「さつき忌み」という祭事とも重なり貴族から庶民に広がって親しまれる中で、「菖蒲」と「尚武(武事・軍事を尊ぶこと)」が同じ発音であることから、武家の間で「男の子の無事な成長を願う」行事として定着していきました。鎧(よろい)や兜(かぶと)を飾るのは、武士が戦での無事を願う際に、鎧や兜を神社に奉納したことに由来します。鯉のぼり、菖蒲湯、ちまき、柏餅などの風習も加わっていきました。
このように、古来より続く「端午の節句」に、戦後になって「こどもの日」を制定したのです。5月5日には、男の子の成長を願う「端午の節句」という年中行事と、男女に関係なく全てのこどもが対象となる「こどもの日」という2つの意味があるのです。最近、つくづく感じるのは、鯉のぼりを見かけなくなったこと。少し前までは、農家の広い庭では大きな鯉のぼりが、マンションの窓には小さな鯉のぼりが元気に泳いでいたものです。また、祝日を祝う国旗も見かけなくなりました。年間行事や風習が忘れられていくのは、とても寂しいものです。CASAでは、玄関前に小さな鯉のぼりと国旗を掲げ、部屋の中には兜を飾りました。写真を載せておきます。
この日ちょうど中3の女子生徒Rちゃんが公民(社会)の宿題をやっていました。テーマは「100年後にも残ってほしい日本が世界に誇る文化?」。何とタイミングの良いことでしょう。年中行事や伝統文化などいろいろディスカッションしました。彼女が最後に選んだのは「おもてなし文化」でした。「おもてなしは、相手が何を求めているかを想像し、行動に移すこと。おもてなしの本質は、もてなす相手を思いやる心が大切です」という書き出しで、「おもてなしの心があれば、世界平和にもつながるでしょう」という結びでした。Rちゃんはとても「心」を大切にする子です。こんな優しい子たちが中心となって、CASAの文化「心地いい空間」が保たれています。感謝!感謝!です。
小沼 好宏