CASAの文化「心地いい空間」づくりを進めてきた中で、欠かせない4人兄弟がいます。長男Jo君、次男M君、三男S君、四男Ju君です。今日は三男S君の話です。彼は今、小学6年生ですが、保育園児の時に、オープンしたばかりのCASAに最初に来てくれた「ファースト・ペンギン」です。
ペンギンは、仲間と一緒にいることを好む動物で、海面に浮かぶ大きな流氷の上で、ひしめき合って生活しています。エサの魚を取りに海中に飛び込む前に、毎回、押しくら饅頭をする光景が見られます。なぜかというと、流氷の下にいる天敵アザラシが待ち構えているかもしれないからです。ペンギンたちは、最初に海に入るのはイヤだ! 運悪く落ちた仲間が無事かどうかを確かめて、無事ならば彼らは次々に海に飛び込んで行くのです。
このように何か嫌なこと・危ないこと・難しいことがあると、自らは決して先頭に立って行動を起こさずに、誰かの陰に隠れることを「ペンギン・シンドローム」といい、一方、勇気を持って最初に行動を起こすことを「ファースト・ペンギン」と呼びます。
CASA前の私道は約30mあり、公道を歩いていて初めてCASAのロゴを見つけて「何だろう?」と思っても、30mの距離を「初めてのモノ」に向かってくることは勇気が必要だったはずです。「アザラシ(怖いモノ)」がいるかもしれないのに、勇気を持って飛び込んできた「ファースト・ペンギン」がS君だったのです。あれから7年、S君は多くの友達をCASAへ誘い、今ではCASAの生き字引です。CASAのルール「ニピピ」などを守れない仲間や初めてきた子どもたちに積極的に指導してくれます。学校でも「ファースト・ペンギン」を発揮し、躍動する風を吹かせてくれているようです。残念なのは、学校という組織においては新鮮な風が「やんちゃな子」との誤解を受けてしまう場面があることです。
今は6年生。中学受験を考えているようで、レベルの高い塾にも通っています。CASAに顔を出してくれる機会も減っていますが、S君のような「ファースト・ペンギン」が「心地いい空間」づくりに大きな役割を果たしてくれています。先日、塾内の算数テストで一番を取ったそうです。
いろいろな場面で、フレ~!フレ~!「ファースト・ペンギン」。 そしてありがとう!
小沼 好宏