「母の遺言」(3/18)と題するブログで、CASAは、もともとは代表の実家で、代表の母親が長年保育ママをしていたことを書きました。そして、その実家は、いつも「勝手口」が開き、多くの人々が出入りしていました。「ただいま!」と帰ると「お帰り~ぃ!」と複数の声と笑顔が迎えてくれました。夕刻には、子どもを預けていたお母さん(お父さんはごくまれ)が迎えに来ます。親子の笑顔がはじける瞬間ですが、時々、顔を突き合わせ「真剣に話すシルエット」が今でも鮮明に残っています。悩みごとを話すお母さんとそれを聴く母の姿です。今でこそ、カウンセラーやコーチなどの職業があり、私もその資格を持っていますが、この時の母こそ「真のカウンセラー」だったと思います。
「勝手口」と「台所」には、何か不思議な力があるなぁとずっと感じていました。ちょっと立ち寄って、お茶を飲みながら相談する場です。そして本音がポロリと出る場です。CASA1階の台所は、かなり古くなっていたのですが、仲間と協力し緑の植物の絵の壁紙を貼り、「みどりキッチン」と名づけ利用してきました。子どもたちにも、古いながらも愛されていましたが、「勝手口」のドアは、母の時代からのモノで木製で光を遮断してしまい暗い感じでした。
その「勝手口」のドアの取替え工事が、先週、完成しました。写真のとおり白色で、真ん中は大きなガラス製で光が差し込みます。ガラス部分は、大きく上下にスライドし、風も通ります。この1週間、子どもたちの様子を観察していると、今まで以上に「みどりキッチン」で時間を過ごす子どもたちが増えました。特に女子中学生に人気です。お姉さんたちは、小学生たちに軽食などを作ってくれたりします。しかし、一番多いのは「真剣に話すシルエット」です。勉強のことなのか、恋バナなのか…。
CASAに来る子供たちに聞いても、「勝手口」という言葉を知っている子はごく少数。「サザエさんで三河屋さんのサブちゃんがビールなどを届けに来てくれる所だよ」と話すと「あぁ~!」と分かってくれます。「勝手口」を再生した思いは、母の時代の「勝手口」と「台所」の不思議な力の再生です。ここで「真剣に話すシルエット」が増えることでしょう。
小沼 好宏