101才の詩人

2023/09/24

「敬老の日」続きで101才の詩人「柴田トヨさん」のお話です。柴田さん(1911年6月26日~2013年1月20日)が詩を書き始めるきっかけは、腰を痛めて趣味の日本舞踊が踊れなくなり、気落ちしていた時に息子さんに勧められたこと。この時92才、それから詩を書き溜め98才の時に「くじけないで」という詩集が発行され160万部の大人気となりました。101才でお亡くなりになるまで、詩作を続けていたそうです。この詩集の中から、4編を紹介します。
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     「溶けてゆく」
  ポットから 注がれる お湯は
  やさしい 言葉のようだ
  私の 心の角砂糖は
  カップの中で 気持ちよく 溶けてゆく 

     「くじけないで」
  ねえ 不幸だなんて ため息をつかないで
  陽射しやそよ風は えこひいきしない
  夢は 平等に みられるのよ
  私 辛いことが あったけど
  生きていてよかった あなたもくじけずに

     「貯 金」
  私ね 人から やさしさを貰ったら
  心に 貯金しておくの
  さびしくなった時には
  それを引き出して 元気になる
  あなたも 今から 積んでおきなさい
  年金より いいわよ

     「先 生」
  私を おばあちゃんと 呼ばないで
  「今日は何曜日?」 「9+9はいくつ?」
  そんなバカな質問も しないでほしい
  「柴田さん 西条八十の詩は 好きですか?」
  「小泉内閣を どう思いますか?」
  こんな 質問なら うれしいわ
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「人間の本物」の発する言葉には、優しく・強く・暖かいものがあります。柴田さんは、92才で詩作を始めています。人間、何かを始めるのに「もう遅い」と自らにブレーキをかけることはないことを教えてくれます。4つ目の「先生」という詩にも深い思いがあふれています。ついついお年寄りを赤ちゃん扱いしていることはありませんか?私自身、物忘れも進み、子どもたちからも「おっちゃん、認知症進んだんじゃない?」などと冗談でからかわれることもあります。でもCASAでは、人生の先輩を敬い、尊敬することの大切さも子どもたちに伝えています。「爽やかなイケメンよ!」(2/17)のブログでも書きましたが、最近、高齢者や弱者をだます若者の事件が増えています。そんな若者にはならないよう、いろいろな大人と接する中で「人間の本物」から学ぶ眼を養って欲しいと願います。

小沼 好宏

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