前回のブログ「農のある風景」で、CASAのある練馬区南大泉には、駅から徒歩1~2分の場所に農地が広がっていることを書きました。農家の中には、私の小学校時代の同級生もいます。同級生から聞いたことがあります。彼の家は「江戸時代から14代続く農家」で家系図もあるそうです。1代を約30年と想定すると30年×14代=420年となり、420年前は1603年です。この年はなんと徳川家康が江戸幕府を開いた年なのです。
ちょうど今、中学2年生が、歴史で江戸時代を学んでいます。彼ら・彼女らと歴史の教科書を読むと、「江戸幕府建設のために地方からたくさんの人たちが集まり、人口増加に対応するために農地が開拓され米作りが推奨された」と書いてあります。なるほど! 南大泉にある農地は、この頃に開拓されたのだと考えられます。その後、江戸にはさらに多くの人々が集まり、1700年代中頃には人口100万人の大都市になり今の東京につながっています。その頃、ロンドンは63万人、パリは54万人ですから、江戸の大きさがわかります。
もう1つ。14代目の同級生がこの世に誕生するには、ご両親がいて、そのご両親にもご両親がいて…と考えていくと、2人×2人×2人×…2人を14回すなわち「2の14乗」のご先祖がいたのです。
2の14乗=16,384です。420年前、江戸幕府が開かれた1603年に存在していた16,384人の命が、縁あって結ばれて今日に至っているのです。人間の命と農地が脈々と引き継がれ、現在の「農のある風景」があるのです。
CASAの私道では、四季の花々を育て「季節の風景」を提供しています。早春になるとスイセンが芽を出し、続いてスズランが咲き始め、初夏にはキバナコスモスの葉が緑のじゅうたんとなり、さらに真夏には真っ黄色の花が太陽と共演し、秋には風に揺れています。これらの花々は、私の両親が植えたものですが、これらの命も数十年間引き継がれ、季節とともにその姿を現し、地域にうるおいを提供してくれます。
最近、地域福祉活動をしていて感じ・考えるのは、「地域には大切なモノを継続し、それを循環させる力がある」ということです。CASAが私道で四季の花々を育て、毎朝のあいさつをする目的は「笑顔・あいさつ・うるおいに満ちた地域づくり」にチャレンジすること。その中でCASAに集う子どもたちがこれを継承してくれたらなと願っています。
小沼 好宏