ここ数日、「命にかかわる暑さ」が続いています。熱中症で病院に運ばれる人たちのニュースが毎日流れています。CASAでもエアコンや扇風機が活躍しています。扇風機を眺めながら、パナソニックの創業者・松下幸之助氏のこんな話を思い出しました。扇風機が主流の頃、扇風機事業部が松下氏に「冬ですから赤字です。夏に挽回します」と報告した時のこと。松下氏は大きな雷を落としました。何と言ったと思いますか? 「武士の真剣勝負なら、いつであろうと斬られてしまえばそれまでだ。夏になったら息を吹き返すとでも言うのか!」と。続けて「
風一筋にやれよ! 風を出す商品を一心に考えろ!」と至上命令を出したそうです。
これを受けた扇風機事業部は、
「風一筋」を極めていきます。思考錯誤の挑戦でしたが、全員の心が一つの方向を向くと迷いがなくなり、不思議なことに突破口が開かれ、風を出す商品が次々と生み出されていきました。換気扇、除湿器、加湿器、空気清浄機、さらに大型化しドーム球場の換気装置、トンネルの集塵換気装置、携帯電話の中継基地用冷却ユニット…。
「風一筋」が無限に深く広く成長していったのです。かつての扇風機事業部は、時代の波に乗り、時流を作り、環境機器ビジネスの主流となりました。「扇風機」という枠をなくし、
「風を出すもの→風一筋」へ視野・視座・視点を拡大した結果、新たな商品が世の中を豊かにしていったのです。
最近では、ダイソン社の羽根のない扇風機もすごい発想の転換です。扇風機には羽根があるのが常識だったのに…。ダイソン社は、吸塵力抜群のサイクロン掃除機で有名な1993年創業の会社です。創業者のジェームズ・ダイソン氏は、こう言っています。「改善するには、物事に疑問を持つことが大切です。それが扇風機であれ、掃除機であれ、他では挑まれることなく、未解決のままになっている問題に立ち向かうことは、終わりのない挑戦なのです」と。この挑戦が、「従来の羽根によって生まれるムラのある風」→「羽根がないからムラのないスムーズな風」を生み出したのです。
CASAに集う子どもたちとは、ボードゲームなどを通じて、柔軟な発想力を大切にし、視野・視座・視点を養う機会なども大切にしています。
小沼 好宏