NHKテレビの土曜ドラマ
「リラの花咲くけものみち」を大変興味深く観ています。先週の土曜日が第二話だったのですが、第一話のあらすじは次の通りです。「東京に住む聡里(さとり)は小学4年生の時に実母を亡くし小学6年の時に父が再婚します。この継母と聡里の関係はうまくいかず、父が単身赴任するとますます関係がまずくなり
聡里は中学3年間をひきこもってしまいます。その第一の理由は、愛犬パールを手放すことを拒んで以来、パールを一切聡里の部屋から出すことを禁じられ、学校に行っている間にパールを捨てられてしまうのではとの恐怖感があったからです。そんな日々を過ごす中、聡里の15歳の誕生日に母方の祖母・チドリが訪ねて来て、聡里の姿を見るなり悲鳴を上げて泣きながら聡里を抱きしめます。チドリは聡里とパールを自宅に連れ帰ります。チドリと暮らし始めた聡里は
都立のチャレンジスクールに進学します。チドリと幸せな生活を送りますが、パールは病気で亡くなってしまいます。パールの病気に早く気づけたらという思いや担任の先生など周りの大人の勧めもあり、
獣医師になることを目標にします。そして北海道にある大学の獣医学部に合格し北海道に旅立ちます。しかし、
人付き合いの苦手な聡里にとっては、
慣れない女子寮生活が始まります。」
CASAのような子どもの居場所を運営していると、
「子どもに対する虐待」に触れる機会もあります。第一話の前半は「虐待」についてとても考えさせられる内容でした。そして祖母チドリが、聡里の状況を発見してからの周りの大人たちの対応やチャレンジスクールへの進学、さらには大学の獣医学部への目標設定などとその夢を果たす応援は、CASAにも必要なことであり見習わなければなりません。
第二話では、「ある日馬の出産に立ち会うのですが、出産が上手くいかず、獣医の先生は仔馬を母馬の体内で切断処置することを決断します。聡里はこれに納得できず、獣医師は自分には無理だと祖母チドリのもとへ逃げ帰ってしまいます。聡里は獣医とは、動物の病を治し・命を助けるのが仕事だと思っていたのですが、時には命を絶つという決断もしなければならないと知るのです。悩んでいる聡里を北海道からクラスメートが訪ねて来てくれます。
人付き合いが苦手な聡里ですが、寮や大学での生活を通じて、良き友ができていたのです。良き友の助けもあり、北海道に戻ることができるのです。戻ってからも次々と試練が訪れるのですが、仲間たちとともに少しずつ成長していきます。そんなある日、聡里が密かに思いを寄せる先輩の一馬(かずま)と川べりを歩いている時にこんな話を聴きます。
『サケ科の同種のヤマメとサクラマスは成魚になると名前が変わるんだ。川で育ったか、海で育ったかで。違う場所で育つのは、稚魚時代の個体の強さによって、大きく強い個体は生まれた場所でエサをとれるからそのまま川で育つ。体が小さく弱い個体はエサを求めて川を下り海へ向かう。海には川とは比べ物にならないくらい豊かなエサがある。そして海で無事生き延びた稚魚は、川に残ったモノよりはるかに大きく育つ。ヤマメは30cmそこそこだが、サクラマスは50cmにもなる。大逆転だ。
小さくても、弱くても、つらいことがあって逃げ出したとしても、時間を経て変わることができる。苦しんだ人の方が最初から何でもできるヤツより強く、強くなれるんだ』と。」
第二話にも深い学びがたくさんありました。まずは、
仲間の大切さです。人付き合いが苦手な聡里ですが、北海道の大自然の中、そして寮生活と言う色の濃い環境の中で、様々な試練にも仲間たちと克服していくのです。最近の子どもたちは、深い人間関係を避ける傾向もありますが、
CASAではいろいろな仲間と接する場を提供したいと考えています。また、一馬先輩のように、的確なアドバイスもしたいなぁとも考えています。
小説家の藤岡陽子さんの同名の小説「リラの花咲くけものみち」が原作で、ドラマは次回の第三話(2/15)が最終回だそうです。6年間の獣医学部の学園生活を残り一話でどのように描くのか楽しみですが、もう少しじっくり放送して欲しいなぁというのが本音です。
小沼 好宏