「おっちゃ~ん!
これなぁに~?」と裏庭の運動空間でトランポリンをしている小3女子たちの声。トランポリンでジャンプするとその物体がちょうど目の前に現れたのです。一緒に遊んでいた小4男子が答えました。「ミノムシだよ」「ミノムシってなぁに?」「ガの幼虫のイモ虫が入ってるんだよ」「いや、気持ち悪い」・・・と会話が続き、「じゃあ、調べてみよう!」とみんなでパソコンの前に集合しました。
その物体に初めて気づいたのは昨年末。高さ2m程の小さな柿の木の枝にその物体がくっついていました。昭和の小学生たちにとっては、木枯らしが吹く頃になると、木の枝からぶら下がっているミノムシが風に揺れている光景を目にするのは日常でしたが、最近は見かけることがありませんでした。調べてみてビックリです。
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蓑虫(ミノムシ)は、ミノガ科のガの幼虫。幼虫は枝や葉を自分が吐き出す糸で固めて巣を作るが、この巣が藁(わら)で作った昔の雨具「蓑(ミノ)」に形が似ているため「ミノムシ」と呼ばれるようになった。巣(=ミノ)は口から出した糸で枯れ枝と結ばれ、秋から冬にかけて幼虫を寒さから守る。昔は日本のどこにでもいたが、1990年代後半あたりから激減している。その原因は、オオミノガヤドリバエという外来種のハエが中国からやって来て西日本に増えたためである。ミノムシは、この天敵から身を守る術がないため、徳島県、宮崎県で絶滅危惧Ⅰ類に指定されている。絶滅危惧Ⅰ類は絶滅が差し迫っている区分なので危機的状況だ。
そんな危機に晒されているミノムシだが、秘められた能力があることが最近分かってきた。2018年、ミノムシの糸がそれまで自然界で最強と言われていたクモの糸よりも強靭であり、弾性・破断強度・丈夫さなど全ての項目でクモの糸を上回ったのだ。将来、ミノムシの糸でできた服や工業品が身近になるかもしれない。
ミノムシは、春になるとサナギになり、初夏になると成虫になる。ガとなってミノから飛び出すのはオスだけ。巣から出たオスは、口が退化してエサをとることができず、幼虫時代に蓄えた栄養を使い果たすと死んでしまう。メスは羽・脚・触角・目・口も退化していて、ミノから出ずミノの中で卵を産んで一生を終える。寿命は1年。一見すると可哀想に思えるかもしれないが、羽や脚などの器官を成長させるための栄養を削って、その分の栄養を全て卵のために使い、その卵をミノという安全な場所で守ることに特化した結果である。
初夏の頃に卵が孵化すると、生まれた幼虫たちはミノの外へ出て行き、自分でミノを作る。そして秋までにいろいろな木の葉っぱを食べて大きくなり、冬には木の枝にミノを固定し冬眠に入る。こうしてミノムシの命は脈々と受け継がれていく。
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調べた結果に、子どもたちからはいろいろな意見が出ました。それらをまとめた結果は、「ミノムシの
命を守ろう! みんなでミノムシの巣をトランポリンをしていて落とさないように
大切にしよう!」という意見でまとまりました。
CASAの裏庭という小さな空間にも、
こんな学びの種が時々芽を出します。
そんな芽を大切にしながら、みんなで育てて行こうと再認識しました。ミノムシの写真を載せておきます。
小沼 好宏